不動産売却に関するよくあるトラブルの回避法や地域密着型の不動産会社に相談するメリットなどについても情報をお届けします。
売却を始める前に知っておくべき3つの準備
不動産の売却をスムーズに進めるためには、最初の準備が何より重要です。特に「なぜ売るのか」「いくらで、いつまでに売りたいのか」といった目的や条件を明確にしておくことで、その後の手続きや交渉が格段に進めやすくなります。ここでは、不動産を売却する前に確認しておくべき3つのポイントをご紹介します。
なぜ売るのか?売却理由と希望条件を明確にしよう
最初に整理しておくべきポイントは、「なぜその不動産を売るのか」という売却理由です。相続した実家の整理、住み替え、資産処分、空き家の維持負担軽減など、目的によって適した売却条件は異なります。
例えば、すぐにお金が必要な場合は「早く売る」ことが最優先になりますが、住み替え先が決まっていない場合は「不動産の引き渡し時期を柔軟に調整できる」ことが重要になります。
売却の目的と各条件の優先順位をはっきりさせておくことで、不動産会社との相談もスムーズに進み、自分に合った売却戦略を選びやすくなるでしょう。
売却によって得たい金額とタイミングをイメージする
売却にあたっては、「大体いくらで売れそうか」「いつまでに売りたいのか」をざっくりとでもイメージしておくことが大切です。得たい金額は、次の住まいやローン返済の計画に直結します。また、売却のタイミングは、引っ越しや子どもの進学などライフイベントと重なる場合は慎重な調整が必要です。
「最低いくらで売れれば納得できるか」と「理想の価格はいくらか」を事前に考えておけば、価格交渉の場面でも冷静な判断ができるようになります。
地域の相場を把握しておくと交渉で有利になる
不動産の売却活動を始める前に、自分の物件が位置するエリアの価格相場をあらかじめ調べておくことも重要です。近隣エリアでの成約事例や同じような間取り・築年数の物件がどれくらいの価格で売れているかを知っておくと、査定価格や買主からの提示額が適正かどうかを見極める材料になります。
例えば福岡県内でも、福岡市内や人気の沿線エリアと、郊外とでは価格相場に大きな差があります。売却価格の妥当性を判断するためにも、地域の実勢を把握しておくことが重要です。価格相場を把握しておけば、不動産会社や買主との交渉でも自信を持って対応できます。
不動産売却の流れを7ステップで把握しよう
不動産売却にはいくつもの手続きがあり、初めての方は「どのタイミングで何をすればいいのかわからない」「何を準備しておけばいいのか」と感じることも多いでしょう。
不動産売却のスタートから契約・引き渡し・確定申告までの全体像を、7つのステップに分けて整理します。手続きの全体像をつかんでおけば、安心してアクションに移れます。
STEP1|信頼できる不動産会社を探して相談
不動産売却の第一歩は、「どの不動産会社に相談するか」を決めることです。ここでの選択が売却の成果を大きく左右するため、慎重に選びたいところです。
日本国内には中小から大手まで数多くの不動産会社がありますが、地域ごとの売買動向を熟知しているのは地域密着型の会社です。地域密着で営業している不動産会社の多くは、そのエリアならではの相場感や販売ルートに強みを持っています。
初回の相談では、売ろうとしている物件の概要を伝え、どのような売却プランが考えられるのかを確認します。不動産会社の担当者が信頼できるかどうかは、質問への対応や提案力、似たような物件を売却した経験があるかなどを確認することで見極めましょう。
複数の不動産会社に相談して比較することも重要です。一括査定サイトの利用は効率的ですが、実際に面談した際の印象も考慮して不動産会社を選ぶのがポイントです。
STEP2|査定を依頼し、物件の価値を見える化
不動産の売却を進めるためには、まず、その物件が「いくらで売れそうか」を把握することが必要です。不動産会社に査定を依頼すると、周辺相場や成約事例、物件の状態などをもとに売却見込み価格を提示してもらえます。
なお、査定には「机上査定」と「訪問査定」があります。机上査定は所在地や面積などのデータをもとに簡易的に査定価格が算出され、短時間で結果が出るのが特徴です。
一方、訪問査定は担当者が実際に物件そのものを見てから査定額を算出するため、より現実的な金額が提示されます。築年数、リフォーム履歴、日当たり、騒音の有無、近隣建物の状況なども査定額に影響するため、訪問査定を受ける際は、設備のメンテナンス記録や間取り図などの資料も準備しておくとよいでしょう。
例えば福岡市内や郊外でも、立地や交通利便性によって査定額は大きく変わります。同じ福岡県内でも久留米市や春日市、糸島市では相場が異なるため、地域特化型の不動産会社が持つ「ローカルな情報力」が生きてきます。
STEP3|媒介契約を結んで売却活動スタート
査定額や担当者の対応に納得できたら、不動産会社と「媒介契約」を結びます。媒介契約は不動産会社へ正式に売却を依頼する契約です。契約を結んだら本格的な販売活動が始まります。なお、媒介契約には以下の3種類があります。
一般媒介契約
複数の会社と同時に契約可能。自由度が高い一方で、必ずしも手数料をもらえるわけではないという理由で、各社の販売意欲がやや弱くなる傾向もある。
専任媒介契約
1社のみと契約。自分で買主を見つけた場合でも契約可能。不動産会社から売主に対する販売報告義務(2週間に1回)がある。
専属専任媒介契約
1社のみと契約。自力での買主探しは不可。不動産会社から売主に対する販売報告は週1回以上が義務づけられている。
媒介契約を結ぶときには、物件の瑕疵(不具合)に関する情報や、各設備の状態、周辺環境の説明なども整理しておく必要があります。告知書や付帯設備表の作成を通じて、買主に対して正確な情報を提供する準備を整えましょう。
STEP4|売却活動と内覧対応の進め方
媒介契約を結ぶと、不動産会社は販売戦略に基づいて売却活動を開始します。主な活動としては、Webサイトや不動産ポータルサイトへの広告掲載、チラシ配布、店舗での情報掲示、既存顧客への紹介などがあります。
不動産会社が掲出する広告の質や写真、コピーライティングの質などが問われる場面でもあり、不動産会社の販売力が売れ行きを左右します。
一方で、売主が担う重要な役割の一つが「内覧対応」です。内覧とは購入希望者が実際に物件を見に来る活動であり、内覧の際に与えた第一印象は成約の有無に大きく影響します。
このため、室内はできる限り片付けておくことが理想です。照明や換気にも気を配り、清潔感と明るさを演出しましょう。必要に応じて簡単なリペアやハウスクリーニングを行うのも効果的です。
福岡などの地方都市では特に、ファミリー層向けの一戸建てや、リモートワークに適した間取りの需要などが高まっているため、買主のニーズに合ったポイントを強調できるよう準備しておくとよいでしょう。
STEP5|購入希望者との価格交渉のコツ
内覧後、購入希望者から購入申込書が提出されると、売買条件の交渉が始まります。最も注目しがちなのは売却価格ですが、価格だけでなく、引き渡し時期、瑕疵担保の範囲、残しておく設備や家具なども交渉の対象となります。
価格交渉に応じるかどうかを判断するためには、あらかじめ「希望の売却価格」と「最低限受け入れられる価格(底値)」を決めておくことが大切です。
また、価格以外の条件を柔軟にすることで、売主にとっての総合的なメリットが生まれる場合もあります。交渉では感情的にならず、客観的なデータなどに基づいて冷静に対応しましょう。
STEP6|売買契約と手付金の受け取り
買主との交渉がまとまったら、売主と買主との間で売買契約を締結します。売買契約書の内容には法的な効力があるため、事前に不動産会社と内容を確認しておき、納得できる状態で署名・捺印を行いましょう。
なお、売買契約を結ぶと「手付金」が支払われます。通常、手付金は売買価格の5~10%程度であり、これは買主からの購入意思の表明として扱われます。
また、このタイミングで、抵当権の処理や登記手続きに向けた準備が始まります。必要書類の確認をするとともに、金融機関との手続きなどについても不動産会社や司法書士と相談し、当日トラブルのないように準備を進めましょう。
STEP7|決済と引き渡し〜その後の確定申告まで
決済日は売買代金の受け取りや登記手続きを行う大切な日です。売主と買主のほかに、不動産会社・司法書士・金融機関の担当者が同席します。売主に住宅ローンの残債がある場合は、売買代金から金融機関に一括返済され、同時に抵当権抹消登記が進められます。
その後、所有権が買主へ正式に移転され、鍵や必要書類が引き渡されて手続き完了です。引き渡しが済んだ後は、翌年の確定申告も忘れずに行いましょう。「3,000万円の特別控除」などの特例制度を活用すれば、納税額を抑えられる場合もあります。不安な場合は税理士や不動産会社に相談すると安心です。
よくあるトラブルとその回避法
不動産を売るときには、手続きを正しく進めたつもりでも思わぬトラブルに遭遇することがあります。特に初めての売却では、価格の認識違いや契約上の誤解、税務処理の漏れなどが発生しやすいものです。ここからは、実際によくあるトラブル事例をもとに、その予防策や注意点について解説します。
査定価格と実際の売却価格のズレに注意
不動産会社から提示される査定価格は、あくまで「このくらいで売れる可能性がある」という見込みに過ぎません。実際の売却にあたっては、購入希望者の希望価格や不動産市場の動きによって、売却価格は上下します。
特に、とにかく最初に高い査定額を提示して媒介契約を結ぼうとする業者もいるため、「査定額=売れる価格」と思い込むのは危険です。
トラブル防止の対策としては、一社だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格の根拠や計算方法を確認することが有効です。
査定価格だけでなく、似たような不動産の売却実績や対応の丁寧さなども比較材料にしましょう。また、査定額に期待しすぎず、実際に売れる価格の幅を見込んで資金計画を立てることが、後のトラブル回避につながります。
契約後のキャンセルや手付金トラブル
売買契約を締結した後に、「やっぱり売りたくない」「もっと高く売れそうだから解約したい」などの理由で売主側がキャンセルを希望するケースがあります。
しかし、一度売買契約が成立すると、売主が一方的に解約するためには「手付金の倍返し(買主に対して手付金の2倍を支払う)」を求められるのが一般的です(売買契約の内容にもよります)。なお、買主側が解約する場合も、「手付放棄」と言って手付金は返金されないのが基本です。
このようなトラブルを防ぐためには、売買契約書に記載された内容をしっかりと確認し、納得したうえで契約に臨むことが大切です。条件に不安がある場合は、契約を結ぶ前に、遠慮せず不動産会社に相談しましょう。
また、売主と買主が別々に契約書に署名捺印する「持ち回り契約」などで当日中に契約が完結しない場合でも、口頭の合意や手付金の授受があれば、契約成立とみなされる可能性があるため要注意です。
税金・確定申告を忘れて損をするケース
不動産を売却して利益が出た場合は、その利益(譲渡所得)に対して所得税と住民税が課税されます。利益が発生したことを申告・納税するためには、不動産を売却した翌年の2月中旬から3月中旬の間に確定申告を行う必要があります。
しかし、「売却益が出ていないから必要ない」と思い込んでいたり、そもそも申告が必要なことを知らなかったりする方も少なくありません。
事前に把握しておくべき重要なポイントは、3,000万円の特別控除や所有期間による税率の違いなど、不動産の売却には適用できる特例制度が多く存在する点です。
条件を満たせば課税対象額を大幅に減らせますが、確定申告をしなければ、その恩恵を受けられません。また、不動産売却によって損失が出た場合でも「損益通算」や「繰越控除」が可能なケースがあり、確定申告が将来の税負担軽減につながることもあります。
確定申告に関して不安がある場合は、不動産会社や税理士に早めに相談し、必要書類や申告手順を確認しておきましょう。書類が揃っていないと申告が間に合わなくなる可能性もあるため、不動産の引き渡しが終わったらすぐに準備を始めるのが理想です。
福岡で不動産を売却するなら地元密着の会社が有利な理由
不動産売却を成功させるためには「どの不動産会社に依頼するか」が成否を大きく左右します。例えば福岡のような、エリアごとに不動産事情が大きく異なる地域では、地域の実情に詳しい会社に相談することが売却成功のカギです。ここからは、福岡県内におけるエリアごとの特徴と、不動産会社の選び方について解説します。
福岡におけるエリアごとの売却事情と特徴
同じ福岡県内であっても、不動産の売れやすさや価格相場はエリアによって大きく異なります。例えば、福岡市の中央区・博多区・南区といった都市部では、人口流入が続いており、マンションを中心とした住宅の需要が根強いものです。都市部では比較的短期間で売却が成立することも少なくありません。
特に駅近や商業施設が充実しているエリアの物件は、買主からの関心が集まりやすく、多少高めの価格設定でも売れる可能性があります。
一方で、郊外エリアである糸島市や古賀市、久留米市、宗像市などでは、都心部と比較すると物件の売却に時間がかかることもめずらしくありません。築年数が古い戸建てや空き家は特に、需要が限られるため、適切な価格設定が求められます。場合によっては先にリフォームした方がいいこともあるでしょう。
そのほか、地域によっては農地や市街化調整区域の制限があるため、そもそもの売却可否や売却に必要な時間にも要注意です。
このように、福岡などの地方都市では「どの地域の、どんな物件を、どれくらいの価格で売るのか」によって戦略が大きく変わるため、地元の事情を的確に把握している不動産会社の存在が重要になります。
全国チェーンと地域密着型、どちらを選ぶべきか?
不動産会社には、全国展開している大手チェーンと、地域密着型で営業している企業の2タイプがあります。それぞれに特徴があるため、売却の目的や物件の内容に応じて適切に選ぶことが大切です。
大手チェーンの強みは、知名度と広告展開力です。大手ポータルサイトや一括査定サービスとの連携が強く、情報発信力に優れています。ただし、担当者によって経験の差が大きい場合もあり、エリア特性を深く理解していない担当者にあたると、期待した成果が得られないこともあります。
一方で、地域密着型の不動産会社は、地元の売買事例に精通しており、地域特有のニーズや相場を細かく把握しています。たとえば「このエリアでは特定の間取りのニーズが高い」「大型再開発の計画が進んでおり、将来的に地価の上昇が見込める」など、きめ細かな情報を活かした提案が可能です。
地方都市では特に、地域密着型の不動産会社とパートナーを組むことで、より現実的かつ的確な売却戦略を立てられることも少なくありません。物件の特性と地域の市場動向を踏まえた的確なアドバイスが欲しい方には、地域密着の会社がおすすめです。
福岡での不動産売却ならグラングッド不動産へ
福岡県内で不動産の売却を検討しているなら、グラングッド不動産にご相談ください。グラングッド不動産は、福岡で地域密着型の強みを持つほか、丁寧で親身な対応をご評価いただいています。「まずは何から始めたらよい?」「売却後の手続きに不安がある」などのお悩みを持つ、初めての方でも安心してご相談いただけます。
当社では、火災保険や住宅ローン、各種税金など、売却後のライフプランまで見据えたサポートを得意としており、お客様一人ひとりの状況に応じた資金計画やアドバイスを提案しています。相続や資産整理、住み替えなど、多様な背景を伴う売却にも柔軟に対応可能です。
さらに、購入・売却後のアフターサポートにも力を入れており、不動産取得税や固定資産税の手続き、近隣トラブルの対応、さらには将来の相続・贈与・資産売却まで、生涯にわたる相談相手としてご対応します。
「相談したらすぐに契約を迫られるのでは…」という不安を感じている方にも、押し売りのないスタンスで、気軽に話せるパートナーとして信頼されています。福岡エリアで納得のいく不動産売却を目指すなら、ぜひグラングッド不動産を相談先の一つとしてご検討ください。
まとめ
不動産売却は、手順や書類、税金など専門的な知識が求められる場面も多く、初めての方にとっては特に不安の大きい手続きです。しかし、売却の流れを事前に把握し、信頼できる不動産会社と連携して進めれば、納得のいく取引を実現できます。
特に福岡のように地域ごとに市場特性が異なるエリアでは、地元に精通した会社と組むことで、市場に合った売却戦略が立てやすくなります。