施設に入った親の家、なぜ「今」売却すべきなのか?放置の5大リスク

親が施設に入所した直後は、入所手続きや引っ越しの片付け、そして何より親が新しい生活に適応できるまでのサポートなど、目の前のことで精一杯になりがちです。

 

このため「実家のことは少し落ち着いてから考えよう」と、結論を先送りする人も少なくありません。

 

しかし、この「とりあえずの放置」こそが、将来的に最も大きなリスクを生む要因になってしまいます。なぜ、親御さんが元気な「今」この瞬間に動き出すべきなのか、その背景には5つの重大なリスクが存在します。

 

固定資産税と維持費の「垂れ流し」実態

まず直視しなければならないのが、人が住んでいるかいないかに関わらず発生し続ける「お金」の問題です。結論からお伝えすると、空き家を所有し続けることは、親の大切な老後資金を毎月消費し続けてしまうのと同じ状態になりかねません。

 

その理由は、不動産を維持するために必要なコストが、想像以上に多岐にわたるからです。具体的には、以下のような費用が毎年発生し続けます。

 

・固定資産税・都市計画税

土地と建物の評価額や地域によって大きく異なりますが、一般的な戸建てであれば年間10万円〜15万円程度のお金がかかります。

 

・火災保険・地震保険

空き家であっても、放火や自然災害のリスクに備えて解約できないケースが多く、年間数万円の出費となります。

 

・水道光熱費の基本料金

掃除や管理のために電気や水道を止めずにいる場合、使用量がゼロでも基本料金がかかり続けます。

 

・維持管理費

庭木の剪定を業者に頼めば1回数万円、ご自身で管理に行くなら交通費やガソリン代がかさみます。

 

例えば、これらを合計すると年間30万円〜50万円ほどの出費になることはめずらしくありません。もし決断を先送りして10年間放置してしまえば、総額で300万円〜500万円もの資産が失われる計算になります。

 

これだけの金額があれば、親が施設で受けるサービスの質を上げたり、より設備の整った施設へ移ったりすることもできたはずです。「実家を残したい」という想いが、結果的に「親のために使えるはずだったお金」を減らしてしまうことにつながりかねません。

 

「家は空気が入れ替わらないと腐る」は本当

次に、建物の物理的な劣化リスクについてお伝えします。家は「人が住まなくなる」と、非常に速いスピードで劣化が進みます。なぜなら、日本の家屋は、人が生活し、窓を開け閉めして空気を入れ替えることを前提に作られているからです。

 

また、水道を使わなくなることも大きな問題です。洗面所やキッチンの排水管には、下水の臭いや害虫が上がってくるのを防ぐための「封水(ふうすい)」という水が溜まっています。

 

長期間水を流さないと、この水が蒸発してしまい、下水の強烈な臭いが室内に充満したり、配管からネズミやゴキブリが侵入したりする原因となります。

 

こうなると、資産価値がほぼ評価されなくなるばかりか、数百万円の解体費用を請求される「負動産」になってしまいます。

 

税金が6倍になる「管理不全」の判定基準

さらに要注意なのは、行政によるペナルティのリスクです。空き家を適切に管理せずに放置していると、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。固定資産税が上がる根拠となるのは「空家等対策の推進に関する特別措置法」です。

 

倒壊の危険があったり、衛生上有害(ゴミ屋敷状態など)であったり、景観を損なっていたりする空き家は、自治体から「特定空き家」に指定されるリスクがあります。

 

通常、住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」によって固定資産税が6分の1に軽減されています。しかし、特定空き家に指定され、自治体からの改善勧告に従わない場合は、この特例が解除され、本来の税額(つまり今の約6倍)に戻されてしまうのです。

 

ご自身が遠方に住んでいて頻繁な管理が難しい場合は、知らない間に「近隣迷惑な家」となり、ある日突然、高額な税金の通知が届くという事態も十分にあり得るため要注意です。

 

3,000万円控除が使えなくなる日

金銭的なメリット・デメリットにおいて、最も期限を意識するべきなのが税金の特例です。親の家を高く売り、手元に多くのお金を残すためには、「施設に入所してから3年目の年末まで」が絶対的なデッドラインとなります。

 

マイホームを売却して利益(譲渡所得)が出た場合、通常は約20%の税金がかかります。しかし、一定の要件を満たせば、利益から最大3,000万円を差し引いて税金を計算できる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を適用可能です。

 

この特例を使えば、例えば1,000万円の利益が出ても税金はゼロになりますが、使えなければ約200万円を納税しなければなりません。

 

この特例を受けるための重要な条件の一つが、「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること」です。

 

親御さんが施設に入所し、住民票を移したり、生活拠点が完全に施設に移ったりした時点からカウントダウンは始まっています。「いつか売ればいい」とのんびり構えていると、この期限を過ぎてしまい、特例が使えずに数百万円単位で損をしてしまうことになりかねません。

 

「今日が一番若い日」である理由

親の健康状態と法的な手続きの関係にも要注意です。不動産の売却手続きは、親の判断能力がある「今」しか、スムーズに進められません。

 

不動産の売却には、所有者本人による「売る意思の確認」と「契約行為」が必須です。もし、親の認知症が進行し、意思能力がないと判断されてしまうと、たとえ実の子どもであっても勝手に実家を売ることはできなくなります。

 

親に意思能力がないと判断された場合は、「成年後見制度」を利用して家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。しかし、これには数ヶ月の期間と多額の費用がかかる上、必ずしも売却の許可が下りるとは限りません。

 

「まだ会話もできるし大丈夫」と思っていても、高齢の方の体調や認知機能は、転倒による入院や環境の変化をきっかけに、急激に低下することがあります。

 

親が自らの意思で「家をどうするか」を決められるのは、もしかしたら今だけかもしれません。選択肢が残されている今のうちに動き出すことが重要です。

 

税金で数百万円損しないために!「3,000万円特別控除」完全攻略

 

ここまで、実家を放置することのリスクについてお伝えしましたが、その中でも特に金額的なインパクトが大きいのが「税金」です。不動産を売却した際に出る利益(譲渡所得)には、数十パーセントの税金がかかります。

 

もし、親の家が高く売れたとしても、その中から数百万円が税金として引かれてしまっては、予定していた介護費用の計画が崩れてしまいかねません。

 

そこで絶対に活用したいのが、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。この制度を正しく理解し、期限内に手続きできるかどうかが、手元に残るお金を最大化するカギとなります。

 

制度の概要とインパクト(シミュレーション)

この特例を一言で言うと、「自宅を売って利益が出ても、3,000万円までは課税対象にしない」というものです。

 

「うちはそんなに豪邸じゃないから、利益なんて出ない」と思われるかもしれません。しかし、長年所有していた土地や建物を売却する場合には、購入当時の価格がわからなくなっているケースも多いものです。

 

その場合は、売却価格の5%を取得費(経費)として税金を計算することになります。結果的に「売却価格の95%が利益」とみなされ、莫大な税金が発生することもあるでしょう。

 

この特例を使った場合と使わなかった場合で、どれくらい手取り額が変わるのか、具体的なシミュレーションを見てみましょう。

 

【シミュレーション条件】

  • ・売却価格:3,500万円
  • ・取得費・譲渡費用(経費):合計500万円
  • ・売却益(譲渡所得):3,000万円

 

特例を使わなかった場合

売却益3,000万円に対し、約20.315%(所得税+住民税)の税金がかかります。

 

税額:3,000万円 × 20.315% = 約609万円

手元に残るお金:約2,891万円

 

3,000万円特別控除を使った場合

売却益3,000万円から、控除額3,000万円を差し引きます。

 

課税対象額:3,000万円 - 3,000万円 = 0円

税額:0円 × 20.315% = 0円

手元に残るお金:3,500万円(経費を除く前の場合)

 

同じ家を売ったとしても、この特例を使うかどうかだけで、約600万円もの差が生まれます。これだけの金額があれば、親が入居する施設のグレードを上げたり、より手厚い医療ケアを受けたりするための大きな原資となるでしょう。

 

絶対に外せない適用要件(チェックリスト)

3,000万円の特別控除適用を受けるためには、複数の条件が定められています。以下のチェックリストでご自身の状況を確認してみてください。

 

「居住用財産(マイホーム)」であること

親が実際に生活していた家であることが大前提です。別荘や最初から投資用として持っていた物件は対象外となります。

 

住まなくなってから3年目の年末までに売ること

正確には「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売却(譲渡)する必要があります。

 

売却するまで「空き家」であったこと

施設に入所した後、誰かに貸して家賃収入を得ていたり、事業用に使っていたりすると、特例の対象外となる場合があります。原則として「空き家のまま」にしておくことが必要です。

 

親子間・夫婦間の売買ではないこと

子どもや配偶者など、特別な関係にある人への売却には適用されません。第三者(一般の買主や不動産会社)への売却である必要があります。

 

特に要注意なのは「3年目の年末」という期限です。施設に入ってから「とりあえず」と様子を見ている間に、気づけばこの期限を過ぎていたというケースが後を絶ちません。

 

施設入所が「居住」とみなされる「特定事由」とは?

多くの方が疑問に思われるのは、「親が施設に入所した場合、実家はまだ『居住用』とみなされるのか、それとも『住まなくなった』ことになるのか」ということです。

 

結論として、親が老人ホーム等の施設に入所した場合は、その時点で実家は「住まなくなった(居住の用に供さなくなった)」と判断されるのが一般的です。生活の拠点が家から施設に移ったとみなされます。

 

「たまに一時帰宅するつもりだから」「住民票は実家に置いたままだから」という理由で、居住用財産として認められ続けると捉えている方もいるかもしれません。

 

しかし、税務署は「住民票の有無」だけでなく、電気・ガスの使用状況や生活の実態を見て判断します。恒久的な施設(特別養護老人ホームや有料老人ホームなど)に入所した場合は、その入所日が「転居日」となり、そこから3年間のカウントダウンが始まると考えておくのが安全です。

 

ただし、病気療養のために一時的に病院に入院している場合などで、将来的に家に戻ることが明らかであるようなケースでは、まだ「居住の用に供さなくなった」とはみなされないこともあります。

 

親の入所が「終の棲家としての入所」なのか、「一時的な避難」なのかによって判断がわかれますが、「入所日=カウントダウン開始日」と認識し、早めの行動を心がけることが、無用なトラブルを避ける最善策です。

 

所有期間10年超なら「軽減税率」も併用可能

もし親がその家(建物と土地)を10年以上所有している場合は、3,000万円控除に加えて「軽減税率の特例」を併用できる可能性があります。

 

通常、不動産を売却した際の税率は約20%(所有期間5年超の場合)ですが、所有期間が10年を超えている居住用財産については、売却益のうち6,000万円以下の部分の税率が約14%まで下がります。

 

例えば、先ほどのシミュレーションよりもさらに利益が大きく、5,000万円の売却益が出たとしましょう。

 

  1. 1.まず「3,000万円特別控除」を使い、利益を2,000万円に圧縮します。
  2. 2.残った2,000万円に対して、「軽減税率(約14%)」が適用されます。

 

このダブル適用により、本来であれば1,000万円近くかかる税金を、大幅に抑制可能です。親が長年大切に住んできた家であれば、この要件を満たしている可能性は非常に高いでしょう。

 

親の判断能力で決まる売却手続きのすべて

 

「3年以内の売却が得なのはわかったけれど、うちは親が施設にいて動けない」「すでに親に少し認知症の気があるけれど、契約できるのだろうか」と、手続きの面に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

 

不動産の売却は、所有者である親の「意思」を確認できるかどうかで、進め方の難易度が大きく変わります。

 

ここからは、親の判断能力のレベルを3つのパターンに分け、それぞれのケースでどのように売却を進めればよいのか、具体的な手順を解説します。

 

パターンA:親に判断能力がある場合

親が施設にいても、自分の名前や生年月日を言える状態で、「家を売りたい」「いくらで売りたい」という意思がはっきりしている場合は、基本的に何の問題もなく売却が可能です。このケースでは、親が契約者となり、通常通りの売却手続きを進められます。

 

一方で「足が悪くて不動産屋に行けないし、署名も手が震えて難しい」という場合もあるでしょう。しかし、不動産売却の現場では、所有者が高齢で同席できないのはよくあるケースです。その場合は、以下の2つの方法でサポートすることで手続きが完了します。

 

・代理人(委任状)による契約

親が信頼できる子どもなどを「代理人」に指名し、実印を押した委任状を作成します。委任状があれば、子どもが代わりに手続き可能です。

 

・司法書士による出張面談

不動産の所有権を移転する登記手続きの際、司法書士が親のいる施設まで出張し、「ご本人の意思で売却することに間違いないか」を直接面談して確認します。この確認さえ取れれば、体が不自由でも法的な手続きは有効に成立します。

 

重要なのは、「意思がはっきりしている今のうちに動く」というスピード感です。「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、親が納得しているなら、すぐに査定や契約の準備に取り掛かることを強くおすすめします。

 

パターンB:判断能力が低下しているが、意思疎通は可能

最も判断に迷うのが、「日常会話はできるけれど、少し前のことを忘れてしまう」「認知症の診断は受けているが、調子のよい日と悪い日がある」という、いわゆるグレーゾーンのケースです。

 

結論からお伝えすると、この段階であれば、まだ成年後見制度を使わずに売却できる可能性が残されています。

 

法律上の「意思能力」とは、0か100かで決まるものではありません。「不動産を売る」という特定の行為の意味(家を手放す代わりに、お金が入ってくること)を、その瞬間に理解できているかどうかが勝負になります。

 

具体的には、決済の立ち合いを行う司法書士が、親に以下のような質問をして判断します。

 

  • ・「ここはどこかわかりますか?」
  • ・「ご自宅をどうしようとしていますか?(売るという言葉が出るか)」
  • ・「売ったお金はどうしますか?(施設代にする、などの認識があるか)」

 

もし、医師から「軽度の認知症」と診断されていても、これらの質問に対して明確に答えられる状態であれば、契約は有効とみなされるケースが多いものです。

 

諦めずに、まずは高齢者の不動産取引に慣れている不動産会社や司法書士に相談してみてください。

 

また、この段階だからこそ検討できる「家族信託(民事信託)」という選択肢もあります。これは、判断能力があるうちに、家の管理・処分権限だけを子どもに移しておく契約です。

 

家族信託の契約を結んでおけば、親の認知症が進行しても、子どもの判断だけでスムーズに売却可能で、成年後見制度のような厳しい制約を受けることもありません。

 

パターンC:重度の認知症で意思疎通が不可

親が自分の名前もわからなかったり、「家を売る」という行為の意味を理解できなかったりする重度の認知症(意思無能力)の状態にある場合は、原則として、家族であっても家を売却できなくなります。

 

法律上、意思能力のない人が行った契約は無効となるため、無理に契約書に印鑑を押させても、後から法務局で登記ができず、売却の話が白紙に戻ってしまいます。

 

この状況で唯一残された方法は、家庭裁判所に申し立てを行い、「成年後見人(せいねんこうけんにん)」を選任してもらうことです。しかし、この成年後見制度を利用して家を売るには、大きなハードルが2つあります。

 

自宅(居住用不動産)の売却には裁判所の許可が必要

後見人がついたからといって、自由に売れるわけではありません。本人の自宅を売る場合は、別途「居住用不動産処分許可」という裁判所の許可が必要です。

 

「売却しないと施設費用が払えない」などの合理的な理由がないと、この許可は下りません。もし親御さんに十分な預貯金がある場合は、「売る必要なし」として却下されることもあります。

 

一度後見人がつくと、一生続く

家の売却が終わったからといって、後見人を解任することはできません。親が亡くなるまでの間、ずっと後見人(弁護士や司法書士が選ばれることが多いです)に財産を管理され、毎月2〜6万円程度の報酬を払い続けることになります。

 

このように、パターンCまで進行してしまうと、時間も費用も精神的な負担も一気に増えてしまいます。

 

「施設に入ったからもう安心」ではなく、「親が自分の意思を伝えられるか」を常に確認し、1日でも早い決断をすることが最善の対策です。

 

家族トラブル・兄弟喧嘩を防ぐ「お金と心」のマネジメント

 

法的な手続きや税金の問題と同じくらい、あるいはそれ以上に皆様の頭を悩ませるのが、「家族間の調整」ではないでしょうか。

 

「実家の片付けを誰がやるのか」「売ったお金は誰が管理するのか」。こうした話し合いは、長年の兄弟仲に亀裂を入れかねないデリケートな問題です。

 

親のための売却が、争いの火種になってしまっては元も子もありません。ここからは、スムーズに協力体制を築き、将来の相続トラブルを未然に防ぐための「お金と心」のマネジメント術についてお伝えします。

 

「誰が主導するか」で揉めないための役割分担

実家の売却において最もトラブルになりやすいのは、特定の一人に負担が集中してしまう「不公平感」です。事前に役割分担を明確にし、動いた人への「感謝」を形(対価)にしておくことが、兄弟姉妹で揉めないための鉄則といえます。

 

よくあるのは、実家の近くに住んでいる子どもが、不動産会社とのやり取り、週末ごとの片付け、役所への手続きなどをすべて一人で背負い込んでしまうケースです。一方で、遠方に住むほかの兄弟は、悪気はなくても「任せたよ」の一言で済ませてしまいがちです。

 

これでは、動いている側からすれば「自分だけが大変な思いをしている」という不満が溜まります。他方、見ているだけの側からは「勝手に進めて、何か隠しているのでは」という疑念が生まれやすくなります。

 

こうした事態を防ぐために、以下のような分担やルールの合意を最初に行うことをおすすめします。

 

・主導役(リーダー)

不動産会社や司法書士との連絡窓口、契約への立ち合い。

 

・事務役(サポート)

必要な書類(戸籍謄本など)の収集、実家の電気・水道等の解約手続きなど。

 

・片付け役

実際に現地に行って荷物を整理する(これは全員参加が理想ですが、難しい場合は免除の代わりに費用負担を多めにする等の調整をします)。

 

・「手間賃」の合意

実働部隊となる方に対して、「売却代金の中から、交通費実費とは別に〇〇万円を『活動費』として支払う」と決めておくのも非常に有効です。お金の話はしにくいかもしれませんが、「親のために時間と労力を使ってくれたことへの正当な評価」として最初に決めておけば、お互いに気持ちよく進められます。

 

売却代金の管理方法

無事に家が売れた後に待っているのが、「数千万円という大金の管理」です。ここが親族間で最も猜疑心が生まれやすいポイントとなります。

 

売却代金を管理する際は、「親名義の口座」に入れ、その通帳のコピーを定期的に兄弟全員に開示することが、身の潔白を証明する唯一の方法です。一方で、絶対に避けるべきなのが、「管理しやすいから」という理由で、親のお金を子ども名義の口座に移してしまうことです。

 

これをしてしまうと、税務署から「親から子への贈与」とみなされて多額の贈与税がかかるリスクがあるだけでなく、他の兄弟から「親の金を自分の財布に入れた」「勝手に使い込んでいるのではないか」と疑われる最大の原因になります。

 

透明性を保つために、以下のルールを徹底しましょう。

 

・親名義の専用口座で管理する

年金が入る親の生活費用口座とは別に、売却代金専用の口座を作るとより明快です。

 

・証拠を残す

施設費用の支払いや、売却にかかった経費(測量費、片付け代など)は、必ず領収書を残し、ノートやExcelで出納帳をつけておきましょう。

 

・定期的な「決算報告」

半年に1回程度、通帳の記帳ページと出納帳のコピーを兄弟に送ります。「しっかり管理してくれている」という安心感が、信頼関係を強固にします。

 

生前売却か、相続後売却か?

「今売って現金化するか、それとも家を残して相続時に分けるか」。これは非常に悩ましい選択ですが、ご家族の状況によって正解が異なります。

 

もし、兄弟間で不動産に対する考え方が違う場合や、将来揉める可能性が少しでもあるなら、「生前に売却して現金化しておく」方が、トラブルのリスクを大幅に下げられます。

 

不動産は「不可分な財産」です。相続が発生した時、一つの実家を巡って親族間の対立が起きるのは珍しくありません。

 

一方で、親御さんが元気なうちに(あるいは判断能力があるうちに)売却し、資産を「現金」に変えておけば、話はシンプルです。現金であれば、1円単位で公平に分けられます。

 

また、売却益を親御さんの施設費用として使い、残った分を将来相続する形にすれば、「親のために使った」という納得感も得られやすいでしょう。

 

もちろん、相続後に売ることで使える税制優遇(空き家特例など)もありますが、その要件は非常に厳しく、条件に合致しないことも多いものです。

 

わずかな節税メリットを追い求めて家族仲を壊すよりも、早めに現金化して「分けやすい形」にしておくことこそが、実は最大の相続対策になるというケースも少なくありません。

 

実家じまいの壁「片付け(残置物撤去)」を効率化する技術

 

不動産売却の手続きや税金の話が一通り整理できたところで、次に取り組むのが、「実家の荷物の整理」です。

 

何十年もの生活が積み重なった実家には、想像を絶する量のものが眠っています。タンス、食器、衣類、古いアルバム、そして何に使うかわからない雑貨の山など。これらを見ただけで、「これを全部片付けるなんて無理だ」と途方に暮れてしまう方も多いのではないでしょうか。

 

ここでは、実家じまい(片付け)の負担を最小限に抑え、売却活動をスムーズに開始するための具体的なノウハウをお伝えします。

 

「全部自分で」は不可能!プロに任せるべき理由

真面目な方ほど、「親の荷物なのだから、自分たちの手で片付けるべきだ」と責任を感じてしまいがちです。しかし、結論からお伝えすると、実家一軒分の荷物を家族だけで片付けるのは、時間的にも体力的にも難しいでしょう。最初からプロの業者に任せることを強くおすすめします。

 

その理由は、一般家庭から出る不用品の量が、素人の想像をはるかに超えているからです。これを週末ごとに通って、分別し、ゴミの収集日に合わせて出し続けるとどうなるでしょうか。

 

週末にまとめて作業しても、半年〜1年かかっても終わらないケースが大半です。その間、売却のチャンスを逃し続け、固定資産税などの維持費だけがかさんでいきます。

 

また、親の思い出の品を一つ一つ手に取って「捨てるか残すか」を判断する作業は、想像以上に精神力を削られるものです。

 

一方で、プロの業者に依頼すれば、家族が数ヶ月かけても終わらない作業を、たった1日〜2日で完了させてくれます。「お金がかかる」と躊躇するかもしれませんが、長期間実家に通う交通費や、売却が遅れることによる維持費を考えれば、結果的に安く済むことも多いのです。

 

ご家族がやるべきことは、「絶対に捨ててはいけないもの(通帳、印鑑、写真、形見)」を取っておくことだけ。後はプロに一任するのが、最短ルートで売却へ進むための賢い選択です。

 

業者選びのポイント(遺品整理 vs 産廃業者)

いざ業者に頼むといっても、どの会社に依頼すればよいのかわからないという人もいるでしょう。相続に関する実家の整理を依頼できる業者には、大きく分けて「遺品整理(生前整理)業者」と「不用品回収(産廃)業者」の2種類があります。

 

親が施設にいる状況での片付けなら、「貴重品の探索」まで行ってくれる遺品整理(生前整理)業者がおすすめです。なお、遺品整理業者と不用品回収業者、それぞれの特徴は以下の通りです。

 

遺品整理(生前整理)業者

遺品整理業者は、単にものを捨てるのではなく、「仕分け」を丁寧に行ってくれます。タンスの裏や服のポケットの中まで確認し、権利証や現金、貴金属などが出てくれば、必ず家族に引き渡してくれます。

 

「大事なものを間違って捨てられたらどうしよう」という不安がありません。一方で、作業が丁寧な分、費用はやや割高になる傾向があります。

 

不用品回収(産業廃棄物処理)業者

基本的にすべての荷物を「ゴミ(廃棄物)」として扱い、機械的に搬出・処分します。作業が早く、費用を比較的安く抑えられるのがメリットです。すでに家族の手で必要なものをすべて持ち出し済みで、後は空っぽにするだけという状態なら、こちらの方が合理的です。

 

一方で、細かい内容物の確認は期待できません。一度トラックに荷物が積まれたら、取り戻すことは不可能です。

 

業者を選ぶ際は、必ず3社程度から「相見積もり」を取りましょう。その際、単に値段の安さだけで決めるのではなく、「買取(リサイクル)」に対応しているかも重要なチェックポイントです。

 

仏壇・神棚・位牌の供養

片付けの中で、どうしても心理的なブレーキがかかるのが、お仏壇や神棚、ご先祖様の位牌の扱いです。これらをタンスや椅子と同じように「ゴミ」として処分することには、誰しも強い抵抗感があるはずです。

 

これらについては、専門的な手順で「魂抜き(閉眼供養)」を行うことで、心理的な区切りをつけられます。具体的な手順は以下の通りです。

 

・仏壇・位牌

お付き合いのあるお寺(菩提寺)がある場合は、住職に連絡して「閉眼供養(へいがんくよう)」のお経をあげてもらいます。これによって、仏壇はただの「箱」に戻るとされていますので、その後はお焚き上げをしてもらうか、業者に引き取ってもらっても問題ありません。

 

お寺との付き合いがない場合は、遺品整理業者が提携している僧侶を手配してくれるサービスを利用するのがスムーズです。

 

・神棚

近くの神社に相談し、神棚を持参してお焚き上げを依頼するか、神主さんに来ていただき「神棚奉納」の儀式を行ってもらいます。

 

「バチがあたるのではないか」と不安に思う必要はありません。適切な手順を踏んで供養することは、ご先祖様への感謝の表現でもあります。

 

売却活動のタイミングと片付けの順序

続いて、不動産会社への相談と、片付けのタイミングについてお伝えします。「綺麗に片付けてからじゃないと、査定してもらえない(恥ずかしい)」と思っていませんか?

 

実は、順序としては「不動産会社に相談・査定依頼」が先で、「本格的な片付け」はその後に行うのが最も効率的です。その理由は2つあります。

 

・「そのままでいい」と言われる可能性がある

もし、その家を「古家付き土地」として売る場合や、買取業者が買い取る場合は、建物は解体やリフォームを前提とするため、家具や荷物が残ったままでもOK(業者が処分する)という条件で契約できることがあります。

 

・片付け費用の捻出ができる

手元に片付け費用がない場合は、不動産会社によっては、売却代金から片付け費用を後払い(決済時に精算)できる業者を紹介してくれることがあります。

 

もちろん、一般の方に向けて内覧(見学)を行う場合は、荷物がなく部屋が広く見えた方が印象はよく、高く売れる可能性が上がります。

 

しかし、まずは現状のままで不動産会社の担当者に見てもらい、「どこまで片付けるべきか」「費用をかけずに売る方法はないか」を相談してみてください。プロは散らかった状態を見慣れていますので、恥ずかしがる必要は全くありません。

 

「売る」以外の選択肢はあるか?賃貸・リバースモーゲージの検証

 

ここまで、「売却」を前提にお話を進めてきましたが、ご家族の中には「せっかくの持ち家なのだからもったいない」「家賃収入を得て、施設の足しにできないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

 

確かに、家を手放さずにお金を生み出せるなら、それに越したことはないように思えます。しかし、冷静にシミュレーションをしてみると、高齢の親が所有する実家において、売却以外の選択肢をとることは、リスクもあるものです。

 

ここからは、よく比較検討される「賃貸」と「リバースモーゲージ」について、その現実的な可能性とリスクを検証していきます。

 

実家を「賃貸」に出すリスクとリターン

「家を貸せば、毎月家賃が入ってくるし、家も維持できる。一石二鳥ではないか」。そう思われるのは自然なことです。しかし、結論からお伝えすると、築年数の経った実家を賃貸に出すことは、初期投資の回収に時間がかかりすぎる上、一度貸すと「売りたい時に売れない」というリスクを負うことにもなります。

 

まず、人に貸せる状態にするためには、水回りの交換や壁紙の張り替えなど、大きなリフォーム費用がかかります。例えば、300万円かけてリフォームし、家賃10万円で貸せたとしても、単純計算で回収に30ヶ月(2年半)の時間が必要です。

 

さらに、そこから固定資産税や修繕費、管理会社への委託料を引くと、手元に残る利益はもっと少なくなります。投資回収に10年以上かかることもめずらしくありませんが、その間に親の資金が必要になっても、家を現金化することはできません。

 

そして最大のリスクが「借地借家法」という法律の壁です。日本の法律では入居者(借りる人)の権利が非常に強く守られています。一度入居者が決まると、家主側の都合(介護費用が必要になったから売りたい、など)で退去してもらうことは、正当事由がない限りほぼ不可能です。

 

入居者がいる状態(オーナーチェンジ物件)で売ることも可能ですが、その場合の売却価格は、空き家で売る場合の相場より大幅に(2〜3割程度)安くなってしまいます。

 

リバースモーゲージ(自宅担保融資)は使えるか?

最近よく耳にする「リバースモーゲージ」はどうでしょうか。これは、自宅を担保にお金を借り、親が亡くなった後に家を売却して借金を返済するという仕組みです。

 

「住み続けながらお金が借りられる」点が魅力ですが、施設に入所した後でも使えるのでしょうか。残念ながら、親が施設に入所済み(空き家状態)の場合、リバースモーゲージを利用できる金融機関は極めて限定的です。

 

リバースモーゲージは、原則として「本人が居住していること」が融資条件となります。誰も住んでいない空き家を担保に融資をしてくれる商品はほとんどありません。

 

一部の金融機関では、セカンドハウス扱いや、親族が住む条件で認める場合もありますが、それでも以下のような厳しい現実があります。

 

・土地の評価額が低いと使えない

基本的に建物価値はゼロとみなされ、土地の評価額だけで融資枠が決まります。首都圏などの地価が高いエリア以外では、そもそも審査に通らないか、借りられても少額(数百万円程度)にとどまるケースが大半です。

 

・長生きリスクと金利負担

リバースモーゲージの融資枠には上限(極度額)があります。もし親が長生きして、融資枠を使い切ってしまった場合、それ以降は資金が入ってきません。

 

また、リバースモーゲージは変動金利が一般的であるため、金利が上昇すると利払い負担が増え、担保割れ(借金が家の価値を上回る)のリスクも生じます。

 

結論:なぜ「売却」が最も安全な選択なのか

親の老後資金を確実に確保し、将来の家族トラブルをゼロにするためには「売却」が最もシンプルで、安全性が高い解決策です。その理由は、不確定要素をすべて排除できるからです。

 

・確定した資金が手に入る

空室リスクや金利上昇リスクに怯えることなく、「〇〇〇〇万円」というまとまった現金が手元に残ります。これにより、「後何年、施設費用が払えるか」という計画が明確になり、家族の精神的な安定につながります。

 

・維持管理からの完全な解放

台風が来るたびに実家の屋根を心配したり、庭の草むしりに追われたりする必要がなくなります。「もう実家のことを気にしなくていい」という解放感は、介護を続ける家族にとって何よりの救いとなるはずです。

 

・資産の整理が完了する

現金化しておけば、将来の相続時にも1円単位で公平に分けることができ、兄弟間のトラブルの種を摘むことができます。

 

「家を守る」こと以上に、「親の生活と家族の平穏を守る」ことが最優先であるならば、売却による現金化は決して後ろ向きな撤退ではなく、未来に向けた最も賢明な資産の組み換えであるといえるでしょう。

 

失敗しない不動産会社の選び方と売却の流れ

 

いよいよ具体的に動き出す段階ですが、不動産会社選びは「親の大切な資産を託すパートナー選び」そのものです。ここでの選択を誤ると、売れるまでに無駄な時間がかかったり、思わぬトラブルに巻き込まれたりする可能性があります。

 

一般的な売却とは少し異なる、「施設に入った親の家」ならではの視点で、会社選びと手続きの流れを解説します。

 

「買取」か「仲介」か?親の家特有の判断基準

不動産の売り方には、不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」と、不動産会社が直接買い取る「買取」の2種類があります。親の家を売る場合、少しでも高く売りたいなら「仲介」、手間とリスクを最小限にしたいなら「買取」を選ぶのが鉄則です。

 

それぞれの特徴を、親御さんの家を売る視点で比較してみましょう。

 

仲介(高く売りたい方向け)

・メリット

市場相場で売れるため、手元に残るお金が最も多くなる可能性があります。

 

・デメリット

通常、買い手が見つかるまで数ヶ月から半年以上かかります。また、その間、内覧の対応なども必要です。

 

買取(楽に手放したい方向け)

・メリット

最短数週間で現金化できます。さらに、「契約不適合責任(売却後の雨漏りなどの責任)」が免除されることが多く、荷物が残ったままでも引き取ってくれるケースが大半です。近所に知られずに売れるのも大きな利点です。

 

・デメリット

仲介で売却する場合と比べて売却価格は相場の7〜8割程度に安くなります。

 

介護費用の支払期限が迫っている場合や、売却後のクレーム対応を絶対に避けたい場合は、「買取」の方がおすすめです。まずは両方の査定を出してもらい、価格差と手間のバランスを見て決めるのがよいでしょう。

 

信頼できる担当者の見抜き方

数ある不動産会社の中で、どの担当者に任せるべきか。その基準は「営業力」ではありません。実家売却においては、「司法書士や税理士と連携し、複雑な権利関係を整理できる担当者」であるかどうかが、信頼できる唯一の基準です。

 

親の判断能力の問題や、3,000万円控除の適用要件など、今回の売却は法律と税金の知識が不可欠だからです。査定の際に、ぜひ以下の質問を投げかけてみてください。

 

  • ・「もし親の認知症が進んでしまった場合、提携している司法書士さんはいますか?」
  • ・「3,000万円控除を使いたいのですが、入所時期などの要件チェックは手伝ってもらえますか?」
  • ・「荷物の片付け業者も一緒に紹介してもらえますか?」

 

これらの質問に前向きな内容で即答できる担当者であれば安心です。逆に、言葉を濁したり、「売れてから考えましょう」と先送りしたりする担当者は避けた方が無難です。

 

机上査定から引き渡しまでの全ステップ

最後に、売却完了までの全体像を把握しておきましょう。基本的には「査定→媒介契約→売買契約→決済」の4ステップで進みますが、まずは家にいながら概算価格を知る「机上査定」を受けるのが、最も負担の少ない始め方です。

 

・机上査定

ネットの一括査定などを利用し、住所や面積などの情報だけで「いくらくらいで売れそうか」の概算を出してもらいます。まずはここで相場感を掴みます。

 

・訪問査定・媒介契約

選んだ不動産会社に実際に家を見てもらい、正確な査定額を出します。納得できれば、売却活動を依頼する契約(媒介契約)を結びます。

 

・販売活動・売買契約

買い手が見つかったら、価格や条件を調整し、重要事項説明を受けて「売買契約」を結びます。この時、手付金(価格の5〜10%程度)が支払われます。

 

・決済・引き渡し

残りの代金を受け取り、同時に鍵を渡し、所有権移転登記を行います。これで売却は完了です。

 

この一連の流れは、順調にいけば3ヶ月〜半年程度です。「まだ売ると決めたわけではない」という段階でも、まずは机上査定だけでも受けてみてください。「いつでも現金化できる」という目安を持つだけで、将来への不安はぐっと軽くなるはずです。

 

よくある質問(FAQ)

ここまで、売却に関する一通りの流れを解説してきましたが、いざご自身の状況に当てはめてみると、「こんな細かいことはどうなのだろう?」という疑問が出てくるかもしれません。

 

Q. 権利証(登記済証)が見当たりませんが売れますか?

結論からお伝えすると、権利証(または登記識別情報通知)がお手元になくても、不動産を売却することは可能です。

 

権利証は、一度紛失してしまうと、いかなる理由があっても再発行できません。しかし、権利証がない場合は、司法書士が作成する「本人確認情報」という書類で代用できます。

 

これは、司法書士が親と直接面談し、免許証などの身分証明書を確認した上で、「この方は間違いなく所有者本人です」というお墨付きを与える書類です。ただし、この書類作成には別途費用(数万円〜10万円程度)がかかるのが一般的です。

 

もし権利証が見当たらない場合は、早めに不動産会社の担当者に伝えておけば、スムーズに司法書士の手配をしてくれます。

 

Q. 親が施設に住民票を移していませんが、3,000万円控除は使えますか?

住民票を実家に残したままでも、3,000万円特別控除を利用できますが、期限には要注意です。税務署が特例の適用を判断する際、最も重視するのは「住民票の場所」ではなく、「生活の実態」です。

 

したがって、親が施設に入所し、実家が空き家になったという事実があれば、住民票を移していなくても「住まなくなった日(転居日)」は「入所した日」とみなされます。

 

ここでのポイントは、「住民票があるから、まだ住んでいることにして期限を延ばせる」というわけではない、ということです。あくまで「入所した日」から3年を経過する日の属する年の12月31日までが期限となります。

 

Q. 建物が古すぎて「瑕疵(欠陥)」が心配ですが、どうすればいいですか?

古い家を売る際は、売却後のトラブルを防ぐために「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」を免責にする特約をつけるのが一般的です。

 

長年住んだ家であれば、シロアリ被害や雨漏り、設備の故障など、目に見えない不具合(瑕疵)があってもおかしくありません。これらをすべて把握して直してから売るのは現実的ではないでしょう。

 

そこで、売買契約書に「売主は、建物の不具合について責任を負わない(免責とする)」という特約を盛り込む方法があります。

 

契約不適合責任を免責にする場合は、建物には価値がないものとして、「解体前提」あるいは「リフォーム前提」で土地として販売するのが有効です。また、不動産会社による買取であれば、プロがリスクを承知で買い取るため、基本的に責任は免除されます。

 

「後からクレームが来て損害賠償を請求されたらどうしよう」と不安な場合は、多少価格が下がっても「免責」での契約を前提に進めることをおすすめします。

 

Q. 土地が借地権(または底地)ですが売れますか?

借地権(他人から借りている土地の上に家が建っている)や、底地(土地だけを貸している)の場合でも売却は可能です。ただし、所有権のある土地よりも専門的な手続きが必要です。

 

借地権つきの建物を売る場合は、必ず地主の「承諾」が必要です。また、一般的には、地主に対して「承諾料(名義書換料)」を支払う慣習があります。この交渉は非常にデリケートで、地主との関係性によっては難航することもあります。

 

このため、借地権や底地の売却に関しては、通常の不動産会社ではなく、権利調整に慣れている「借地権・底地の専門業者」や、経験豊富な仲介会社を選ぶことが成功への近道です。

 

「借地だから売れない」と諦める必要はありませんが、ご自身だけで地主と交渉するのはリスクもあるので、まずはプロに間に入ってもらうようにしましょう。

 

実家の売却はグラングッド不動産にご相談を

福岡県内で施設に入った親の家の売却を検討しているなら、グラングッド不動産にご相談ください。グラングッド不動産は、福岡で地域密着型の強みを持つほか、丁寧で親身な対応をご評価いただいています。「何から始めたらよいかわからない」「売却後の手続きが不安」といった初めての方でも安心してご相談いただけます。

 

当社では、住宅ローンや税金、火災保険など、売却後のライフプランまで見据えたサポートを得意としており、お客様一人ひとりの状況に応じた資金計画やアドバイスを提案しています。相続や資産整理、住み替えなど、複雑な背景を伴う売却にも柔軟に対応可能です。

 

さらに、購入・売却後のアフターサポートにも力を入れており、不動産取得税や固定資産税の手続き、近隣トラブルの対応、さらには将来の相続・贈与・資産売却まで、生涯にわたる相談相手としてご対応します。

 

「相談したらすぐに契約を迫られるのでは…」という不安を感じている方にも、押し売りのないスタンスで、気軽に話せるパートナーとして信頼されています。福岡エリアで納得のいく不動産売却を目指すなら、ぜひグラングッド不動産を相談先の一つとしてご検討ください。

 

まとめ

施設に入った親の家を売却するにあたり、最も意識すべきなのは「3年以内の期限」と「親御さんの判断能力」の2点です。

 

親の家を空き家のまま放置し続けることは、固定資産税などの維持費で資産を目減りさせるだけでなく、3,000万円特別控除の適用期限を逃し、将来的に数百万円単位の損失を招く大きなリスクがあります。

 

また、親の認知症が進行して判断能力が失われると、成年後見制度の利用が必須となり、売却の手続きは長期化・複雑化してしまいます。

 

ご家族の精神的・金銭的な負担を減らし、大切な資産を有効活用するためには、選択肢が多く残されている「今」動き出すことが最も合理的な判断です。

 

まずは不動産会社の査定を受け、現在の家の価値と税金を含めた手残りの金額を把握することから始めてみましょう。