売却活動を始める前に!成否を分ける3つの準備

売却の成否を大きく左右するのは、本格的な売却活動に入る前の準備です。焦って不動産会社に相談する前に、ご自身でも準備をしておくことで、その後のプロセスがよりスムーズに進みます。

 

なぜ売るのか?「売却目的」を明確にすることが肝心

まず初めに、なぜ不動産を売却するのかという「目的」を明確にすることが、最適な売却戦略を立てる上で重要です。なぜなら、売却の目的によって「価格」「スピード」「手間」といった要素の優先順位が変わってくるからです。

 

この軸が定まっていないと、後から「もっと高く売れたはずなのに」「こんなに時間がかかるとは思わなかった」といった後悔につながりかねません。

 

例えば以下のように、売却の目的によって優先すべきことは異なります。

 

「より良い家への住み替え」が目的の場合

新しい家の購入資金を確保するため、「売却価格の高さ」が最優先になります。売却期間にはある程度の余裕を持ち、高値で購入してくれる買主をじっくりと探す戦略が有効です。

 

「親から相続した実家の売却」が目的の場合

相続税の支払期限があるため「決められた期間内で確実に売却すること」が重要になります。

 

「急な転勤」が目的の場合

何よりも「売却のスピード」が優先されます。多少価格が下がったとしても、転勤の期日までに確実に売却を完了させることが必要です。

 

このように、ご自身の状況をあらかじめ整理しておくことで、不動産会社にも的確な要望を伝えられます。

 

いくらで売れる?「正確な相場観」が武器になる

不動産会社へ査定を依頼する前に、自分で相場を調べておくことが重要です。価格相場という判断基準を持たないままでは、不動産会社から提示された査定額が本当に妥当な金額なのかを判断できません。

 

「高く査定してくれたから」というだけの理由で不動産会社と媒介契約を結んだ結果、いつまでも売れずに結局大幅な値下げをすることになった、という失敗は非常に多いものです。ご自身でできる相場の調査方法は、主に以下の2つです。

 

不動産ポータルサイトで調べる(SUUMO、HOME'Sなど)

家が立地するエリアや広さ、築年数などが近い物件は「いくらで売りに出されているか」を確認します。手軽にできますが、これはあくまで「売主の希望価格(売出価格)」であり、実際に売れた「成約価格」ではない点に要注意です。

 

 

公的なデータサイトで調べる(レインズ・マーケット・インフォメーションなど)

レインズ・マーケット・インフォメーション(REINS Market Information)は、実際に売買が成立した「成約価格」を見られるサイトです。より実態に近い、信憑性の高い相場情報を得られます。

 

手元にいくら残る?「お金の全知識」で損を防ぐ

不動産が売れたとしても、不動産の売却価格がそのまま全額手元に残るわけではありません。売却にかかる「費用」や「税金」を事前に把握し、「最終的な手取り額」を想定しておくことが、資金計画の失敗を防ぐために不可欠です。

 

最終的な手残り額を把握できていないと、思った以上に出費がかさみ、「新居の購入資金が足りない!」「ローンの返済計画が狂ってしまった」といった事態になりかねません。

 

売却時にかかるお金は、大きく分けて以下の通りです。

 

仲介手数料

不動産会社に支払う成功報酬です。売却価格に応じて上限額が法律で決まっています。

 

印紙税

売買契約書に貼る印紙代です。

 

登記費用

住宅ローンを完済し、抵当権を抹消するために司法書士に支払う費用です。

 

売却益にかかる「税金」

不動産を売って得た利益(譲渡所得)に対して、「所得税」と「住民税」がかかります。

 

【図解】不動産売却の全体像と7つのステップ

まず、不動産売却がどのような流れで進むのかを頭に入れておきましょう。全体像を把握しておくことで、今自分がどの段階にいて、次に何をすべきかが明確になります。売却のステップは、大きく分けて以下の7つです。これから、各ステップで「何をするのか」を簡潔に見ていきましょう。

 

 

 

 

一般的に、不動産会社への相談から物件の引き渡し完了まで、3ヵ月から半年ほどの期間がかかります。

 

査定依頼: 不動産の価値を知る第1歩

不動産売却は、ご自身の物件が「いくらで売れそうか」を知るための「査定依頼」から始まります。売却活動の土台となる「売出価格」を決めるためには、専門家による客観的な評価額を知る必要があるからです。

 

査定には、ネットなどで簡易的に行える「机上査定」と、実際に物件を見て評価する「訪問査定」があります。より正確な価格を知るためには、必ず複数の不動産会社に査定を依頼し、その査定額と根拠を比較検討することが重要です。

 

なお、査定依頼は物件の価値を知ると同時に、信頼できる不動産会社を見極めるための大切な機会にもなります。

 

媒介契約: 不動産会社とのパートナー契約

査定を受けて不動産会社を選んだら、売却活動を正式に依頼するための「媒介契約」を不動産会社と結びます。媒介契約には「専属専任」「専任」「一般」の3種類があり、売主が他の不動産会社に重ねて依頼できるかなどの条件が異なります。

 

売却活動: 購入希望者を探す

媒介契約を締結したら、いよいよ不動産会社による本格的な「売却活動」のスタートです。不動産ポータルサイトへの物件掲載、不動産会社間の情報ネットワークシステム「レインズ」への登録などを通じて、物件の魅力をアピールしていきます。

 

内覧対応: 物件の魅力をアピールする場

購入を検討している方が、実際に物件を見学しに来る「内覧」に対応します。内覧は、物件のよさを直接伝えられる機会です。

 

当日は、事前に掃除や整理整頓を済ませ、室内を明るく見せるなどの準備が大切です。また、購入検討者からの質問には、正直かつ丁寧に対応しましょう。

 

売買契約: 購入者と正式な契約を結ぶ

購入希望者が見つかり、価格などの条件交渉がまとまったら、次の行程は買主との「売買契約」締結です。また、契約締結に合わせて買主から手付金を受け取ります。

 

決済・引き渡し: 代金を受け取って物件を引き渡す

引き渡し日になったら買主から売買代金の残り全額を受け取り、物件の「引き渡し」を行います。当日は、司法書士立ち会いのもと、代金の入金確認、住宅ローンの完済手続き、鍵の受け渡しなどの手続きが必要です。この決済と引き渡しを持って、一連の売却取引は完了です。

 

確定申告: 税金の申告と納税

不動産を売却したら、翌年に税務署へ「確定申告」を行います。売却によって利益(譲渡所得)が出た場合は納税の義務があり、また損失が出た場合や税金の特例を利用する場合にも申告が必須です。なお、節税に関する特例は確定申告をしなければ適用されません。

 

【戦略編】損せず最高値で売るための3つの極意

 

ここからは、単に手順通りに売却を進めるだけでなく、不動産売却を成功させるための、より実践的な3つのポイントを解説します。

 

準備や手順の知識だけでは十分ではなく、「誰と組むか」「どう見せるか」「どうリスクを回避するか」という戦略的な視点を持つことで、理想の結果に近づけます。

 

売却の9割を決める「最高のパートナー(不動産会社)」の見極め方

不動産売却の成功は不動産会社選びで9割が決まると言っても過言ではありません。不動産会社の能力や誠実さが、最終的な売却価格や取引の安全性に直接影響します。

 

よい不動産会社を見つけるため、絶対に避けるべきなのは「査定額が一番高いから」という理由だけで決めることです。契約欲しさに、意図的に相場より高い査定額を提示する会社も残念ながら存在します。

 

本当に信頼できるパートナーを見極めるには、以下のポイントをチェックしてください。

 

査定の根拠は明確か?

ただ金額を提示するだけでなく、「周辺の成約事例」や「物件のプラス評価点」など、データに基づいた論理的な説明があるか。

 

具体的な売却戦略があるか?

「どんな人に」「どうアピールして売るか」という、あなたの物件に合わせた販売プランを提示してくれるか。

 

デメリットも正直に話してくれるか?

物件の弱みや売却活動のリスクについても隠さず伝え、その対策まで一緒に考えてくれる誠実さがあるか。

 

担当者との相性はよいか?

レスポンスが早く、あなたの話を親身に聞いてくれるか。長期間の付き合いになるため、コミュニケーションの取りやすさは非常に重要です。

 

査定額という数字だけでなく、こうした「人」や「会社の姿勢」について複数の会社で比較検討し、「この人になら安心して任せられる」と思えるパートナーを見つけることが、高値売却への最も確実な道筋です。

 

1円でも高く、1日でも早く売るための「ひと工夫」

不動産会社にすべてを任せるのではなく、売主がひと工夫加えることで、物件の印象は格段に良くなるでしょう。購入検討者は、物件のスペックだけでなく、「この家に住んだら、どんな生活を送れるだろう」という感情で最終的な購入判断を下すことが多いからです。

 

特に効果的なのは、購入検討者が訪れる「内覧」の準備です。内覧対応の際には以下のポイントを意識してみましょう。

 

「清潔感」を徹底する

玄関、キッチン、浴室、トイレといった水回りは特に念入りに掃除しましょう。第一印象が格段に変わります。

 

「明るさ」を演出する

内覧が始まる前に、家中の照明をすべて点灯し、カーテンは全開にして自然光を取り込みましょう。部屋が広く明るく見えます。

 

生活感を隠す

個人の趣味が強く出るポスターや写真は片付け、できるだけ物を減らしてモデルルームのようなスッキリとした空間を心掛けましょう。

 

このほか、不動産ポータルサイトに掲載する「写真」は物件の顔となるため、不動産会社にプロのカメラマンによる撮影を依頼できないか相談するのも有効です。

 

「売却後のトラブル」を完璧に回避する方法

売却完了後に発生しうる「買主とのトラブル」は、物件の状況を事前に「正直にすべて伝える」ことで回避できます。

 

売却後に、契約書に書かれていなかった雨漏りやシロアリ被害などの欠陥(契約不適合)が見つかった場合、売主は買主から修理費用の請求や契約解除を求められる可能性があります。

 

「契約不適合責任」は、売主にとって予期せぬ大きな金銭的・精神的負担になりかねません。

 

契約不適合責任のリスクを下げるために有効なのが「物件状況報告書(告知書)」です。これは、物件の状態について、売主が知っている情報を買主に伝えるための書類となります。

 

ここで重要なのは、たとえ物件にとってマイナスに思える情報(例:「過去に〇〇を修繕したことがある」「壁にひび割れがある」など)であっても、正直に、そして具体的に記載することです。

 

事前に伝えて買主が納得した上で契約していれば、後から責任を問われることはありません。また、より安心して取引するために、専門家が建物を検査し、万が一の欠陥に備える「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」を利用するという選択肢もあります。

 

【状況別】不動産売却のよくある疑問Q&A

 

最後に、売主の個別の状況に応じた具体的な疑問にお答えします。

 

Q1. とにかく早く売りたい!何か方法はありますか?

売却のスピードを最優先するなら、「買取」という売却方法が最も有効です。通常の「仲介」が、不動産会社を通じて一般の個人へ売却する方法であるのに対し、「買取」は不動産会社自身が直接買主となって物件を買い取る方法です。購入希望者を探す必要がないため、圧倒的なスピードで不動産を現金化できます。

 

「買取」のメリットは、主に以下の3つです。

 

  • ・圧倒的なスピード: 最短で数日〜1週間程度で売買が成立します。
  • ・仲介手数料が不要: 不動産会社が買主のため、仲介手数料はかかりません。
  • ・内覧対応が不要: 一般の購入希望者に家を見せる必要がありません。

 

ただし、大きなデメリットとして、売却価格が「仲介」で売る場合の相場の7〜8割程度になってしまう点が挙げられます。これは、不動産会社がリフォームなどを行って再販売するための利益やコストを見込むためです。

 

Q2. 相続した実家を売るのですが、注意点はありますか?

相続した不動産の売却には、特有の注意点が3つあります。「相続登記」「相続人全員の同意」「税金の特例」です。

 

相続登記を済ませる

不動産の名義を、亡くなった親から相続人であるご自身の名義へ変更する手続きです。これが完了しないと、法的に売却することはできません。

 

相続人全員の同意を得る

相続人が複数いる場合、売却するには相続人全員の同意が記された「遺産分割協議書」が必要です。一人でも反対していると売却は進められません。

 

税金の特例を確認する

相続した空き家を売る場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる「相続空き家の3,000万円特別控除」という制度があります。適用できるか事前に確認しましょう。

 

Q3. 住みながらの売却はできますか?負担が大きいのでは?

住みながらの売却も可能です。実際に多くの方が、今の家に住み続けながら売却活動を行っています。

 

先に新居を購入してしまうと、住宅ローンが二重になったり、資金計画が立てにくかったりするため、自宅を売却してから新居を探す方が金銭的なリスクは少なくなります。

 

Q4. なかなか売れない場合はどうすればいいですか?

もし3ヵ月以上売却活動を続けても売れない場合は、焦らずに原因を分析し、具体的な対策を打つ必要があります。検討すべき対策は、主に以下の3つです。

 

売出価格の見直し

値下げは最も効果的な対策です。周辺における類似物件の成約価格と、現在の売出価格が乖離していないかを確認します。

 

販売活動の見直し

物件写真が魅力的か、広告の内容は適切かなど、物件の魅力を最大限に伝えられているかを見直します。ホームステージング(家具や小物で室内を演出する手法)などを試すのも一つの手です。

 

不動産会社の変更

媒介契約の更新時期(通常3ヶ月)が近づいているなら、担当者の活動に不安がある場合などは、不動産会社を変更することも検討しましょう。

 

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まとめ

不動産売却を成功させるためには売却活動前の準備から始めます。「売却目的の明確化」「正確な相場観の把握」「費用と税金を考慮した資金計画」を事前に行い、売却の軸を定めます。

 

また、査定額の高さだけではなく、査定の根拠や売却戦略を明確に提示できる、信頼性の高い不動産会社を見極めることが最も重要です。まずは複数の会社に査定を依頼し、具体的な売却プランの比較検討を行いましょう。